がんになった会社員が知っておくべき3つの制度|社労士が解説

がんになった会社員が知っておくべき3つの制度|社労士が解説

会社員として一生懸命働いて、環境にも慣れてきたところでがんが発覚してしまった。

この記事をご覧になった方はそんな経験をしている方だと思います。

がんになると仕事より治療を優先しなければいけません。会社の退職や収入のことも頭に過るでしょう。

この記事では「会社員でがんになった時に知っておくべき制度」を3つご紹介します。

制度を知ることで今後の働き方や生活の不安が少し解消できるかもしれません。

「何をしていいのかわからない」と不安を抱えている方はぜひご覧ください。

まずは治療を優先しよう

もしがんが発覚した場合は、仕事より治療を優先しましょう。

そのうえで「すぐに仕事をやめる」という判断はまだしなくても大丈夫です。

治療を最優先に考え、仕事をしながら治療ができるよう会社に相談しましょう。

会社によってはがん支援を積極的に行っているところもあります。

まずは治療を優先し、使える制度をフル活用することをおすすめします。

がんになったら知っておくべき3つの制度

会社員の方でがんになった場合は、国や会社で設けられた制度を利用して仕事との両立を図ることが大切です。

主に利用できる制度は次の3つになります。

  1. 勤務制度
  2. 特別休暇制度
  3. 傷病手当金

それぞれを詳しく解説します。

①勤務制度

勤務制度は会社の就業規則によって使える制度が異なりますが、活用できる主な勤務制度としては次のものです。

  • 時差勤務
  • 時短勤務
  • 在宅勤務(テレワーク)

これらは会社の上司や人事に相談することで利用が可能です。

それぞれの概要を解説します。

時差勤務

時差勤務とは「始業終業時間をずらす働き方」です。

例えば、9時〜18時が定時勤務の会社で時差勤務を行う場合、10時〜19時や8時~17時に勤務時間をずらることを「時差勤務」といいます。

始業時間をずらすことで病院に行く時間を確保しつつ、収入を減らさずに働くことができます。

時短勤務

時短勤務は「勤務時間を短くする働き方」です。

例えば、9時~18時勤務であるところを9時~16時とするなどです。

時短をすることで、体にかかる負担の軽減や病院に行く時間の確保ができるようになります。

ただし勤務時間が短くなる分、収入が減ってしまうデメリットもあるので、体調を見ながら利用しましょう。

在宅勤務(テレワーク)

在宅勤務は「自宅で働く働き方」です。

新型コロナウイルス蔓延の影響により導入する会社も増えています。

在宅勤務のメリットは「通勤をしなくてよい」こと。

また自宅で仕事ができるため、家族の支援も受けやすく、すぐに休憩をとれることもメリットの一つです。

②特別休暇制度

次に会社独自の「特別休暇制度」について解説します。

特別休暇制度は多くの会社で導入されており、有給休暇とは別に休暇を取得ができる制度です。

主な特別休暇制度は次の2つ。

  1. 私傷病休暇
  2. 会社独自の特別休暇

私傷病休暇

多くの会社で設けられている休暇が「私傷病休暇」です。

有給休暇とは別に病気やケガで会社を休む場合に利用できる休暇として導入されています

ただし利用条件や休暇日数は会社によって異なります。

利用条件は就業規則か、会社の人事・総務の担当者に確認してみましょう。

会社独自の特別休暇

会社が福利厚生として独自に特別休暇を設けている場合があります。

その中で「がんなどの重い病気で勤務できないとき」に利用できる休暇があるかどうか確認しましょう。

有給休暇や私傷病休暇とは別に、さらに休暇が取れる可能性があります。

③傷病手当金

傷病手当金は有給休暇などの休暇を使い切り、欠勤になった時に支給される給付金です。

病気やけがによって会社に出勤できない場合に支給されます。

支給金額は給料の約3分の2です。

「傷病手当金が支給された日が通算1年6ヶ月になるまで」支給されるため、長期欠勤となる場合でも、しばらくは生活費として支援が受けられます。

がんと仕事の両立を相談したい方

これまで紹介した制度を利用してもがんと仕事の不安がすべて解消されることはないでしょう。

そんな不安を抱えた方向けに、厚生労働省が治療と仕事の両立に関して支援を行っています。

詳しくは下記のホームページをご覧ください。

厚生労働省「治療と仕事の両立ナビ

支援機関や支援人材の情報が詳しく掲載されています。

まとめ

会社員として仕事をしながらがん治療を行う人にとって「収入」は不安要素の一つです。

国や会社が用意している制度を利用すれば、しばらく収入の心配はありません。

厚生労働省も治療と仕事の両立に向けた支援を行っています。

できるだけ治療を優先して早期回復に努めましょう。

この記事を書いた人

プロフィール

北 光太郎(きた こうたろう)

社会保険労務士|きた社労士事務所代表
会社員として人事労務に10年間従事した後、社労士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修にも力を入れている労務の専門家。

運営サイト:労サポ|人事労務専門サイト

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